GOT SAVE THE ケフカ様 作:ZAZA9013
世界が崩壊し、元凶のケフカを倒して、はや2年が経とうとしていた。 ティナは夢うつつにケフカを思い出す時がある。 あやつりの輪をはめられていたので、細部はぼやけていたけれど・・・・。 それはベクタにいた頃の・・・・。
「ティナ、それがお前の全力なのか?もっと気合をいれろ」 「はい。」 レオ将軍は魔導研究所の中庭でティナに剣の稽古をつけていた。 「殺すつもりでやらないと、戦場でお前はすぐ死ぬ。」 「はい。」ティナは、疲れたとも一言も不平を言わず、将軍の指導に従っている。 鎧の下は、背中の大きく開いた鮮やかなミニワンピース。 操りの輪のせいで何も求めることができないティナの話を聞いたセリスが、 せめて年相応の格好を・・・と、ベクタで買ってきたものだった。
二人は剣で30分ほど打ち合った。 「ティナ、少し休もう」 「はい。」 「何か持ってくる。お前は日影で休んでいなさい。」 レオ将軍は部下のウエッジにコーヒーを用意させた。 ティナは中庭の楓の木陰で待っているはずだった。 将軍がウエッジと戻ってくると、ティナがいない。
「・・・どこへ行った?」モーグリのぬいぐるみでもふかふかしに行ったのか。 それとも。
レオ将軍が来る前に、木陰で休むティナを見つけたのはケフカだった。 「あー―っ、ティナちゃん!だめじゃないかー。」 「?」ティナは異形の魔道士をみあげた。 白い顔に真紅の口紅、頬から眉の上までメタリックに光る粉で模様が描いてある。 南国の鳥の羽根を髪に挿し、悪夢から飛び出した道化師のような衣装。 怪しい輝きを放つケフカの双眸がティナを一瞬にして支配する。 「そんなところにいたら、日に焼けちゃうよ。こっちくるんだ。」 有無を言わさずティナの手を引っ張っていく。 「全く誰だい。こんな天気のいい日にキミを外に引っ張り出すなんて。」ケフカは一人で喋っている。 「天気のいい日はね、肌が焼けちゃうから、真っ黒になっちゃうよ。 こんな時は、日のあたらない地下室が一番一番。」 ついたところは、ケフカの部屋。人形が棚一面に置いてあり、床にも何体か散らばっている。 「おふろに入ってきれいにしておいで、キミに似合う服を作ったんだ。」 ティナは言われたとおりに身体をきれいにした。 脱衣所には、赤いレースの下着が一そろい置いてあった。 ティナはそれをつけるとケフカの前に立った。 「じゃあまずこれをつけよう」 ケフカは赤い革でできた服を包みから取り出した。 それはティナの身体にぴったりと合った上下おそろいのスーツだった。 ズボンはティナの臍の上からくるぶしまでをぴったりと覆い、 上着は頤のしたから手首までの華奢な線をくっきりと浮き出している。 まだ幼さの残る胸からウエストにかけてのラインを赤い革の光沢が すこし大人っぽく強調している。 「くるしい?ティナちゃん」 「すこし・・・」少し関節を動かしただけで、革の服が肌に食い込む感じがする。 「次はもうちょっと苦しくなるかもしれないよ」 ケフカは同じく赤い革でできたコルセットをティナにはめた。 後ろに紐がついていてそれを力いっぱい締め上げた。 「うっ・・・」細いティナのウエストは一段と絞り上げられた。 「息がしずらいかい?」「はい」 「でもこれで死ぬ事はないよ。次はこの手袋を穿くんだ。」 赤い、肘まである手袋をティナはつけた。 手袋はティナの手を計って作ってあるようだった。 「じゃあ次は、このブーツをはいてごらん。」 ティナはケフカのベッドに腰掛けて赤いエナメルでできたブーツをはいた。 ブーツは太ももの上のほうまであって、膝を曲げるのが困難なくらいにぴったりとしていた。 踵が今まではいたことのないくらいに高く、立ち上がったもののすぐ倒れそうになった。 「うまくたっていられません。ケフカ様。」 「ああそうだろうね。でも、奇麗だよ。」 ケフカはエナメルのブーツに包まれたティナの足をじっとみている。 ティナはバランスを保つのが精一杯だった。 「髪をひとつにまとめたほうがいいな・・・」 ケフカはティナを座らせると、髪を大きな三編みにし頭のうえから垂らした。 そうして、赤い革でできたマスクをティナにかぶせた。 マスクは頭の後ろに鳩目がついていて紐を縛ると頭全体を締め付けるものだった。 目と鼻のところには数個の小さな穴があいているだけ。 息はできるが苦しかった。視界が極端に狭い。 革の匂いでむせかえりそうだった。 ケフカは頭はあまりきつく締めずに頭のてっぺんから三つ編みにしたティナの髪をだした。 「んー・・・・こんな感じだな。いいよ、ティナちゃんすごく奇麗だ」 「そうですか」 「うん、とても。裸なんかよりずっといい。」 あやつりの輪をはめられているティナにあまり人格はない。 おそらく、誰かに乱暴されたとしても抵抗はできないだろう。 ティナは、赤いマスクと革の服と、ブーツと手袋で全身を覆われ革でできた人形のようだった。 呼吸をするたびにコルセットが上下し、かろうじて彼女が人間である事を表している。 室内の蝋燭の光にブーツの光沢が美しい足を強調している。 光、赤、影。美しく、力強く、細く、しなやかな体。 ケフカはそれを飽くことなくずっと眺めていた。 ティナに限界がきた。慣れない高すぎるヒールのため立っていられなくなったのだ。 「あっ・・・」 「あぶない」ケフカはすばやくティナの身体を支えた。 肩と腰を支えてそのままベッドに横たえた。 ケフカはティナの隣で頬杖をついて、ティナをみている。 しばらくして、ケフカは語りだした。 「ボクは人間は嫌いなんだ。誰かの肌に触れると思っただけでぞっとする・・・・ 人形なら触れられる。今のキミもね。」 「わたし、今、人形なの?」 「そうさ、今だけボクのモノなんだよ」 「もの・・・・なの?」 「ものだよ。モノだから何も考えなくていい。ただそこにいるだけで良いんだ」 もの・・・いつもティナの心の中には不安があった。 自分は何者なのか、どんな人間だったのか。 ここに何のためにいるのか・・・。 あやつりの輪のためにそれらが表に出てくることはなかったが、ときどきそんな思いに 苦しめられる事があった。 でも、モノなら何も考えなくてもいい。モノになりきってしまえるのならきっと楽になれるのだろうか・・・。 ただそこにいるだけでいい・・・。 その言葉はティナを少し安心させた。 「キミは好きなものってあるのかい?」 「モーグリのぬいぐるみ・・・。あとは、・・・ケフカ様についてる羽飾り ・・・ふわふわしていて気持ちいいの。」 「そう。ボクはこの手袋をした手が好きだよ。触れようとしても触れえないところが・・・」 ケフカはティナの手袋の上からキスをした。 ティナは空いたほうの手で、ケフカの頭の羽飾りに触れてみた。 でも、手袋をしているので、羽根飾りがそこにあることはわかるけど、 ふわふわとした感触は得られなかった。 これがケフカ様の世界なの?触れようとしてもこれでは触れる事が出来ない・・・。 ずっと・・・遠いまま・・・。 ティナは、ぼんやりとそう思った。 ケフカはティナの胸に頭を乗せしばらくじっとしていた。 「なんだかボクはもう満足したよ。」と、顔をあげた。 「ティナちゃんは?」 と、聞かれても答えることはできなかった。 「・・・・・わからない・・・」 「そうだろうねえ・・・。でも、それでいいんですよ。・・・耳を澄ましてごらん、邪魔者の足音がする。」 「・・・・・・?」 乱暴なノックの後ドアが蹴り開けられた。 「ケフカ!ティナをどこにやった!」 「ここにいるよ。」 レオ将軍は絶句した。ケフカの横には炎から出てきたような真っ赤な人型が座っていた。 マスクの上から垂らされた緑の三つ編みで、かろうじてティナとわかる。 「ティナに一体何をした!」将軍は今にも剣を抜こうとする勢いだ。 「何も。」ケフカは軽く肩をすくめた。「着せ替えごっこをしただけさ。」 「ティナ!早くそいつから離れてこっちへきなさい!」 ティナはケフカに軽く促されてから、よろめきながらレオ将軍の方へ歩いていった。 慣れないヒールにうまく歩けていない。 ケフカは軽く笑った。 「そんなにティナが心配なら、貞操帯でもつけてやればいい。」 「おまえの遊びに付きあっている暇などない!」 「なんなら、おまえも・・・」 レオ将軍はケフカの言葉を最後まで聞かずにドアを閉めた。 ティナを抱えるようにしてレオ将軍はケフカの部屋から遠ざかった。 「ティナ・・・ほんとうに何もされなかったのか?」 「おふろに入って着替えただけです」 「ああ、そう。」 レオ将軍はめまいをおこしているようだった。 「とりあえず、この格好をまずなんとかしなくては。 ああ、ここにセリスがいてくれればよかったのに。 ・・・・一体どういう好みなんだ?」 将軍はティナの部屋へ行き、まず頭を覆っているマスクを外した。 「レオ将軍、すいません。これ、脱げません.」 「ちょっとまて。誰か女性の士官を呼んで・・・」 そう思ったレオ将軍だったが、ティナの曲げた肘の内側に 深く食い込んでいる手袋を見て、早く外すほうを選んだ。 痛々しかったのだ。 将軍は苦労してティナの手袋を脱がせた。 手袋は第二の皮膚のようにくっついていて、かなり力を入れないと脱げなかった。 ブーツも、コルセットも苦労して外した。 ティナの全身の関節部はいくつもの赤い筋がついていた。 それを見たレオ将軍は、ケフカに対する深い嫌悪感がまた一段とましたのを自覚した。 「ティナ・・・ケフカは、お前に何をするかわからない。 ・・・・・今度ケフカを見かけたら走って逃げなさい。」 「はい、レオ将軍。」 「では、またいずれ。私は仕事があるから。」 「はい。」 それから何日もたたないうちにティナはケフカとばったり会ってしまった。 ガストラ帝国の最新兵器、魔導アーマーの操作訓練のあとである。 自分の部屋へ帰りかけたティナを廊下を通せんぼするようにケフカが立っていた。 ティナはくるりときびすを返すと、ケフカの反対方向へと全速で走り出した。 「きゃっ!?」 目の前に突然洗われた極彩色のかたまりにティナは思いっきりぶつかって転倒した。 「うきゅっ!?痛いじゃないかー」ケフカの赤いブーツのつま先が宙に浮いている。 魔法を使ってティナの逃げた方向へ回り込んだのだ。 改めてティナは足の先から頭の先までケフカを見た。 この前とは違う衣装なのだろうが、くらくらするような 原色の塊に見えるところは一緒だった。 「ふんっ。僕ちんと衝突して命があるのはおまえくらいだぞ!」 と、ケフカはティナに手をさしのべた。 赤く染められたケフカの爪は長く、手の甲から腕にかけては 不気味な幾何学模様が描かれていた。 「・・・ケフカ様。すいません。」 ティナは躊躇した後、その手を取ると立ち上がった。 「ティナちゃんは今日はこれから僕と踊るんだ。」 立ち上がったティナにケフカはそう宣言した。 「・・・私、踊れません・・・。」 「ティナちゃんがダンスを知っているかどうかは関係ないのだ。 来るんだ。」 ティナは再びケフカの部屋へと連れて行かれた。 途中で何度も逃げたほうがいいのだろうかと思った。 しかし、あやつりの輪の力のせいで命令を拒否する意志の力は出なかった。 ぼんやりとしか考えられないのだ。 この前は恐ろしいことはなかった。だからきっと大丈夫・・・。 と、ティナは思った。 ティナは風呂に入って身を清めるようケフカに言われた。 ぬるいお湯には薔薇の花びらが浮いていた。 白い大きなバスタオルで身体を拭くと着替えが無かったのでそのままケフカのところへ行った。 「うわっ!!ハダカはいけない。着替えは・・・ああ、こっちに全部あった。」 ケフカはティナの身体を見ないように顔をそむけながら 「これはティナちゃんに絶対にあう。」 それは服、というよりは白いラバーでできた全身を覆うスーツだった。 足先、手の先、首もとまで覆い尽くすそれをつけたティナをみると、 ケフカは、 「うーむ、これでは乳頭が見えるな・・・これは良くない」 と、黒くて硬い革で出来たコルセットをティナにつけ始めた。 「むぅ・・・コーディネートが今ひとつ・・・。お尻の線が出るのはいいとして、 性器の線まで見えてしまうのはどうも興ざめですね。 このつるつるした質感はいいのですが・・・レースのスカートで隠しましょうか・・・ と、ケフカは部屋の奥から大きなふわっとした毛の尻尾をもってきた。 ティナのコルセットの後の金具に取り付けた。 ティナの太ももよりも一回り大きなしろいしっぽは、ちょうどティナの足首の所までの 長さだった。 「と、すると・・・やっぱり頭はこれでしょうねぇ。」 ケフカはティナの緑色の髪を一つに束ねると、頭部と顔全体を覆う 白いラバーのマスクをかぶせた。 白いラバーのマスクには目と唇のところに大きな穴があいていた.。 鼻で息をしなければ、長時間はかぶっていられそう・・・。 と、ティナは思った。 前のは、ほとんど回りがみえなくてつらかったからだ。 ふいに、ティナの頭全体が、きゅっと締め付けられた。 白いラバーのマスクは、後頭部に縦にあげ編みに白い紐がとおっていた。 ケフカはそれを締めたのだ.。 指先もつま先も白いラバーが覆っている。 開けている目とくちびるだけが、外の空気に触れていて、ひやりとする。 「靴をはいてみようか。」 ケフカの指さした先には、真っ白なエナメルのダンスシューズが揃えてあった。 ティナは細く長い踵のついたダンスシューズをはいた。 「では、まいりますよ。」 ケフカはティナの左手を掴むと、移動の呪文を唱えた。 ケフカの部屋から消えた二人は、ガストラ帝国城の中広間へと出現した。 「ほら、御覧。広いだろう。君と踊りたくて借り切った。」 「・・・・きれい。」 星のように輝くシャンデリア、何十もの大きな壺には白を基調とした 花が活けられている。 仮面をつけたオーケストラが音楽を奏で始めた。 ケフカが呪文を唱えた。 二人の足はゆっくりと宙に浮いた。 二人は踊りはじめた。 白いラバーに覆われたティナは、人とは違う別の生き物のようだった。 白いからだも頭も足も、幾百と輝く蝋燭の光をぎらぎらと反射させていた。 ちょっとミスマッチな、黒いコルセットの後からでている尻尾が、ティナの動きに合わせて ふわふわとゆれている。 ティナは広間の大きな鏡に映るケフカと自分の姿に見とれた。 白い光と原色がからみあい、世界の始まりのような途方も無いエネルギーを感じた。 二人はくるくると回る惑星のようだった。 「ティナちゃん、僕はいつか僕が支配する世界を作って見せるよ。」 「そうですか・・・」 「でも、そこは死の世界なんだ。みーんな僕に殺されるんだ。」 「そうですか・・」 「でも・・・、僕ちんが神様になりそこなったら・・・・君にあげるよ、この世界。 残りカスの世界はおまえの好きにしたらいい。」 「・・・はい。」 「本当は、おまえの力が世界を支配するにふさわしいのかもしれませんね。 ・・・おまえの力を少し解放してみよう・・・」 ケフカの言葉に、ティナの意識は自分の身体を抜けた。 踊る2人の姿が下に見えた。 帝国城の屋根。夕闇に輝く首都ベクタの夜景。 どこまでもティナは上昇していく。雲を突き抜け大地が小さくなる。 月の横をかすめて、星が輝く真っ黒な空間をどんどん進んでいく。 生きろ・・・。 かすかな声が聞こえる。声のほうへティナは加速した。 そして白く輝く大きな光の中へ飛び込んだ。 「豊穣」「いのち」「増殖」「本能」・・・ そんなイメージがティナの心の中に怒涛のように溢れてきた。 イメージは次々とティナの中を駆け回る。 これはもしかして・・・自分の心の中にあるもの?とティナが思った瞬間、 ティナの意識が途切れた。 気がつくとティナはケフカの腕の中にいた。 1mほどの高さに二人とも浮いていた。 オーケストラの演奏は終っていた。 「キミと僕ちんは違いすぎるね・・・やはり一緒には生きられないね。 いい機会があれば、キミを楽にしてあげるよ・・・。」 そう呟いたケフカの言葉。 白塗りの顔の下の悲しそうな瞳・・・。 ティナはときどき思い出す。 ・・・・・・・・そのときのケフカの今にも泣き出しそうな青い眼を。 おわり ――――――――――――――――――――――――――――― ZAZA初のきせかえ小説(笑)密着したブーツに屹立する光沢の良さが 伝わるような伝わらないような・・・・・(苦笑)フェティッシュ小説か・・・。 尻尾はほんとにコルセットにつけたのか?と つっこみたくなった人は・・・。通だな。 お下品にしないように書くのが心のお約束なため、ハードな事はしませんでした。 いいんだよ。それで。(自爆) 「GOT SAVE THE すげこま君」 の中にある 「日のあたらない地下室が一番一番♪」という素敵な台詞を使いたかった。 大概の事は何でもできるのに、「愛」だけは不自由という キャラクター萌えなんでしょうね。 |