バンパイア・イン・ベニス (1988)

制作・監督・脚本アウグスト・カミニート

原案 アルベルト・アルフィエリ、レアンドロ・ルケッテイ

音楽 バンゲリス 、ルイジ・セカレッリ

 

 

出演 クラウス・キンスキー バルバラ・デ・ロッシ クリストファー・プラマー

 

というわけでパッケージの説明文

 

「バンパイア、それは決して死ぬことのない呪われたるもの。その一噛みで生きとし生ける者を

永遠の不死の世界に引きずり込む。だが、そこに<愛>はない。

愛なき旅に疲れ、自ら死を望むバンパイア。銃弾も十字架もよせつけぬ奴を眠りつかせるものは

ただ一つ、清純な処女の無垢な愛。

水の都ベニスを舞台に、美しく妖艶な令嬢をめぐって、愛を求めさまようバンパイアと吸血鬼学

教授との間に、息づまる闘いがくり広げられる。

時に暴力的に、時に甘美に展開する官能美と恐怖の世界。

「ノスフェラトゥ」の怪優クラウス・キンスキーが再び退廃美あふれる吸血鬼を熱演。

目くるめく官能の吸血鬼伝説「バンパイア・イン・ベニス」は世紀末の血をすする!!」

 

というような感じです。原題はNOSFERATU A VENEZIA 以下ネタバレあります。

 

 

えーと、お話は、美人のご先祖様が吸血鬼に襲われちゃったことのある、

ベニスのとある一族の三人娘がやっぱりキンスキー演じる吸血鬼に襲われてしまう、

というような感じです。

 

何かねぇ…、ヘルツォークのノスフェラトゥを見て“あれじゃ、ノスフェラトゥが可哀想すぎ!”

と思った人が脚本を書いたのか!?などと邪推してしまいます。

全然続編とかそういうわけじゃないのですが、なんとなくノスフェラトゥ贔屓な感じの

お話だと思いました。(苦笑)

 

今回のノスフェラトゥは強いです。十字架なんか握りつぶしちゃいます。

髪の毛は長いです。後頭部はやや薄いですが(笑)

これはこれで、キンスキーかっこいいぞ。

敵役の吸血鬼学のカタラノ教授(クリストファー・プラマー)は、案外と弱いですし。

ホラー度はそんなに高くないです。あんまり怖い話ではありません。

 

 

映像がとても綺麗です。ほとんど青いフィルターがかかっていて、妖しくて綺麗なベニスが

堪能できます。ベニスのいいところを理解している人が撮ったんだろうなと思いました。

夜にばっかり撮影してると、ナーバスになるキンスキーへの配慮なのか

どうかはしりませんが、濃い青いフィルターで昼間も強引に夜っぽいシーンになっている

ようです。

 

音楽も何だか気合が入っている感じですね。ただ、キンスキーが出てくる

ところの曲は桃太郎電鉄のキングボンビーの曲を彷彿とさせます。

キングボンビーと白塗りのキンスキーの姿が脳裏にダブり笑ってしまいました。

 

思わず突っ込んでしまったのは、交霊会のシーンで“来て”って呼んでしまう所が…。

どんな奴が来るかわからないのにー。呼んじゃだめだよなぁ。

 

あのノスフェラトゥが来て「やったー!ラッキー!」と

思うのは、かなりマニアな好みなのではないのだろうか。(苦笑)

それにヘリエッタはもう少し抵抗した方が良いような…。

(魔力のせいかな?でも白いスカートの姉ちゃんは走って逃げてたし…)

あれが来たら普通「ハズレ」なのではないのか?

ZAZA的にはあたりだけど。

 

 

その他にもホラーだから笑っちゃいけないと思いつつ、つい笑ってしまった所が何箇所か。

 

回想シーンに出てきた、ノスフェラトゥとたたかって負けた司祭の発声がとっても良い。

ほんとに“悪魔払い”って感じで、いい声でした。

(あまりに神々しい声なのに負けちゃったので笑ってしまった)

 

犬の柵を蹴飛ばしている所。…とても演技には見えない。

お話的には、来てと言われてわざわざ来たのに、最初に襲った娘が

処女でも無垢の愛でもなかったための八つ当たり

だろうと思われるのだが、…本気で不機嫌の激怒モードに見えてしまった。

 

「キンスキー我が最愛の敵」を見た人ではないとそんなことは思わないだろうな。

でも、何かあの蹴りっぷりはガチに見えるんですよ。(汗)

(そのあとカメラにむかって掴みかかって行ってそうな感じっす)

 

あと、最後のほうで、裸のねえちゃんを「お姫様だっこ」する所。

…魔力が尽きて弱っている設定とはいえ、60くらいのおっさんに

あのピチピチねえちゃんは重いのだろうなー。

よろよろっていうか、いっぱいいっぱいっていうか、ちょっと気の毒だな。

歩くのが精一杯そうに見えた。

 

 

えー…とにかく早朝のベニスを彷徨うキンスキーがカッコイイ。

船で登場する所もいいし。

キンスキーが近づくと飛び去る鳥たちとか、なんでもないシーンが美しいのです。

 

キンスキーでこれだけ美しいのだから、他の俳優が演じていたら相当かっこよく

撮って貰えたに違いない。ああ、もったいない。

とにかく色々とムダに美しいのだ。

 

 

DVD化するなら、次はこれがいいな。どうかね、コロムビアさん。(ニヤリ)

 


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