映画の感想 キンスキー・我が最愛の敵



いやいやいやいや、ちょっとちょっとちょっとぉ。(激しく動揺)
クラウス・キンスキー(めんどくさいので以下キンちゃん)ってそんな人だったんですか?
ヘルツォーク監督!

キンちゃんは、やっぱりただの人じゃなかったんですね。
あの奇妙な迫力はどっから来るのか不思議だったんですけど、納得しました。

これをみたあと、キンちゃんが私の中で俳優から怪人にランクアップしちゃいました。
ははは・・・。ショックですわ、もう・・・・。
そんな人だとはちっとも知りませんでした。何年も好きだったのに・・・。

たとえば魔法使いがあらわれて、キンちゃんにリボンをかけて私にくれたとしても、
以前は受け取るかどうか迷う所でしたが、これを見てからは断固として受け取り拒否です。
・・・っていうくらいショックですね。もはや、笑うしか残されていない。


映画「アギーレ」の、アギーレ以外の皆さんの沈痛な表情も、アギーレの静かな
狂気も、「フィツカラルド」の原住民の不穏な感じも全部あれリアルだったんですか。
(苦笑)
もう、勘弁してください。愉快すぎます。
キンちゃんもヘルツォーク監督もあまりにいい勝負すぎます。


しかし、監督もかなりキンちゃんの事は言えないだろ。(苦笑)
監督の奇行集だって、公開しないだけで、ドキュメンタリー映画一本作れるだけの
量はあるはずだと激しく想像させるんですけれど・・・。
まぁ、その件に関しての追跡調査はスパイウェアが怖いので勘弁しといてやる。


この作品は、監督のキンちゃんへの一方的な愛に満ち溢れています。
人間には色んな面があって、キンちゃんは・・・多分、それらが全部極端
だったんだろうなと推測させます。

ヒステリーで切れ易く、純真だったり、一生懸命だったり、下品だったり上品だったり・・・。
一言でいっちゃうと「いかれてる」。

でも、カメラマンの手当てをしてあげたり、意外と思いやりがある奴だったりと、
人間的っていうか、人間らしい感じがします。良い所も悪い所も含めて。

どうにもこうにも自己中心的で嫌な奴なのかもしれませんが、
監督の楽しそうな語り口を聞いていると「愛すべきおバカさん」に見えてきますよ。

もう、監督ったら身振り手振りに、キンスキーの喋り方をまねたりと、嬉しそうったらありゃしない。
ほんとうに好きなんだなぁと思います。
ただ、そう語れるまで、・・・キンスキーによる精神的外傷が薄れるまでに数年が必要だったのか?
などと容易に邪推できるところが・・・(苦笑)、何ともいえませんね。うひひ。


(いや、あれだ、キンちゃんは、ドーパミンとか多いんだよ(苦笑)。
いっつも脳が活性化してるから、元気が良いんだよ。
ああ、パワフルでうらやましいな、私に気迫をわけておくれよ、キンちゃん)


細かいエピソードは監督の語るとおりなのかもしれませんが、
見ていると「監督の解釈を鵜呑みにしちゃいかんな」とも思います。(苦笑)
監督も、ある意味キンスキーと張合える程のマッドさを持ち合わせているはずだから。


やられたなぁ、と思うのはラストの蝶と戯れるキンちゃん。
くそう、しめが上手すぎて、・・・思わず監督への激しい突込みを忘却させる
効果があるぞ。この小手先野郎め!その手にはのらん。
映画館で見ていたら、まちがってさわやかな気持ちで出てきてしまうだろう。

ちがうちがう。
多分「キンちゃんもヤバイけど、ヘルツォークも実はヤバイ。
ドキュメンタリーって胡散臭いな。」って思うのが良いんじゃないだろうか。

・・・キンちゃん贔屓しすぎですか(笑)?



これを見てから、ヘルツォーク監督の「アギーレ」「フィツカラルド」「コブラ・ヴェルデ」を
見ると、楽しくて良いかも知れません。

フィツカラルドの撮影なんか、流された船にわざわざ乗って行っているのですから、
キンちゃんじゃなくても「監督の言う事聞いていたら、俺は事故死するぅ!」って思って当然かもね。
救命胴衣とか、皆つけてないしさぁ・・・・。


追記

wwwW映画の撮影ごとにキレるキンスキーを弁護してみるWwww


「アギーレ」の撮影はアマゾンのジャングルの中。

ジャングルと言えば高温多湿。現地の人は腰みの一枚とかそんなもんでしょう。
そこで、紫のブラウスきてその上に皮鎧着て金属の鎧を着て、頭には鉄兜足はブーツだぜ!
蒸し暑くてしかたがない。いくら撮影ッたってやってられない。

役者は暑苦しい衣装着てるけど、撮影の連中の涼しそうな格好を見たらムカつく事確実だぁ。

それに、撮影の筏には馬も乗っていて常に馬糞の匂いがするだろうし。
これも案外と辛いんじゃないかな?綺麗好きには。

その上、虫はばんばん飛んでくるし、ジャングルには毒蛇がいるし、川にはピラニアが。
マラリアだの下痢だのわけのわからない病気にかかりそうだし。
警察も病院もホテルも近くには全然無いし。

おまけに、撮影チームごとジャングルで迷子になるし。
GPSなんてないから、本気で迷子だし。
最後のシーンの猿は泳いで筏からとんずらしやがるし。
もう一回猿を連れてきてとりなおしたし・・・・。


普通の人が仕事で行ったとしても、なかなか辛い状況なのではないのだろうか?
・・・いやまあ、だからといって銃を人のいる小屋にぶっぱなしたり、剣で兜ごと頭を
かち割ろうとするのは良くないが・・・・・。

繊細な人を極限状況に連れて行ってはいけないんだ・・・(汗)・・・多分。
通常の3倍は切れ易い環境だったのではないかと・・・思います。



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