映画の感想 コブラ・ヴェルデ
コブラ・ヴェルデは不幸な男だ。
底の壊れた器のように、常に彼の渇きは満たされない。
何も信じる所がないからだろうか?
どこかとらえどころがない。
優しい女が寄り添っていても、彼の視線は常に遠くを見ている。
「ただ ここから 遠くへ行きたい」
海に佇む彼の姿はどうにもならない悲しみにあふれているようだった。
そして、奴隷商人としてアフリカへ。
愚かさと狡猾が交じり合った異郷の地で彼は運命に翻弄される。
そこは豊穣と混乱と狂熱に満ちていた。
彼は飲み込まれ、そして吐き出される。
女戦士たちと王宮を攻撃に行くが、王を殺すカタルシスは得られない。
彼を太守にした新しい王も、彼をアフリカにうまく追放した
ブラジルの人間も、彼を裏切った。
彼の心が安らぎを得られる土地も富も無かったのだ。
月の光が砕けて雪となる場所とは彼の魂の飛んでいく先
なのかもしれない。
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